《前号から続き、、》
アラタ)もひとつ面白いエピソード急に思い出したけども、、母親の前で小学校の時ね漢字か何かの勉強してたんよね、、昔の下敷きってセルロイドで、、皆さんあまりご存知ないかとおもいますが、、よく割れたのよね。今の下敷きは柔らかい?でしょ?
昔のは固くって当たるとパキッてよく割れたのよね。で、、割れた下敷きで書いてたら、、書きにくいなぁ、、それで母親に、、
『下敷き買ってくれへん?』って言ったら、、『漢字の学習終わったら買ったげる』と母親が言ってね、、そしたら父親がね横で聞いてて、、
怒ったのよ。
『それは勉強するために要るもんやろ』『先に買ってこんと勉強できんやないか❗️』
フミ)まぁ優先順位がやっぱり、、目的がはっきりされてる、、
アラタ)母親は悪気はなかったと思うけど、、
フミ)まあ、、私も同じこと言うと思うけど、、
(笑)(笑)(笑)
アラタ)『終わったら買ったげるよ』みたいな事ってあるよね、、それ終わったら何かしたげるよ、、まぁそんな軽い気分で言ったと思うけど、、
フミ)必要なもんは先にと言う事ね。
アラタ)バイオリンでもそうよね、、楽器と弓が要るもんね。
フミ)上手になったら買ったげるよっていうのは、、
アラタ)ああ、、それはちょっと、、
アラタ)初心者の方で、これくらいの値段のものでいいかなって、、こういう考えはちょっと難しいね、、思いっきり自分にそぐわないくらいいいもん買ったら上手になるよ。
フミ)なりますよね。これ不思議なもんですよね。なんか、、斡旋業者でもなんでもないんですが(笑)ホントにそれはね、、だっていいもの持った時にしか出せないものがあって、、
アラタ)大事にしますしね。
フミ)それに、まず決意が変わりますよね。
フミ)いや..ホントにそんなエピソードがあるなんて知らずに、、有名ですもんね、、荒田さんが17歳で始めて、、遅く始めてらっしゃるのに、しかも国立大学に入って、九州交響楽団に入団して。
アラタ)京都市立芸大に合格は、、まぁ5年くらい勉強して、、何回も受験したんですけどもね。
アラタ)もひとつ今となっては面白い話、、三回目か四回目かなんか忘れましたけども、、受験の時間、、間違えてね、、集合時間ね。
フミ)えっ、、遅く間違えた?
アラタ)1日目コンチェルトの試験、、まぁ弾けたな、良かったかなぁ、、明日はエチュードだなぁって、、のんきに学校に向かってた。
アラタ)二日目エチュードの集合ね13時半、、それね3時半に行ったのよ。
フミ)13時半。。。3時半ですかぁぁぁぁ、、、
アラタ)そしたらね、、試験終わってたのよ。。
アラタ)学校の門の入り口に、入試の担当教授が来られて、、『君 また来年来なさい』ってね。
『いや僕はもう今年でやめますから、、』これでダメやったらほんとにやめようと思ってたのよね。でも、、その年の12月くらいになって先輩の方々や周りの皆さんが、、『荒田くん。。もっかいだけ受けてみ』『もっかいだけ受験してみ』ってね。言うてくれたのよ、、みんなが。でも、、『いやもういいです、自分でなんとかやっていきます』って言いましたね。
アラタ)その頃、けっこうバブルな頃やったから、、なんなと仕事あったのね。『もうこれでいきます』言うたら、、『学校行った方が良いって..』
アラタ)で、まあ年越えて受けたら合格したの。
フミ)いやぁ。。。
アラタ)そもそも時間間違えたのよね、、その時に、、『弾かせてください』って言ったんですが、、『もう試験終わってるから帰りなさい』と言うことで、、岡崎の疏水の横の美しい道を、、トボトボ帰りました。
アラタ)で、さっきお話ししましたように、翌年、もっかい受けて合格しました。
フミ)うわーぁ
アラタ)だから時間というものにすごく敏感になりました。今もね。
フミ)でも、、クラシック業界あるあるで、絶対遅れてはいけないってありますよね。
アラタ)そう1時からっていうと1時にきちっとチューニング始まるよね。
フミ)30分前かそれより前にリハーサル会場に行くっていうのが普通ですよね。
アラタ)プロの世界のあるあるですね。きちっと始まるね。
フミ)そうですね、、ちょっと時間にゆるい方がいると、大丈夫かなって思っちゃいますね。
アラタ)いつ始まっていつ終わるのか分からん仕事って、、辛いもんがあるね。
フミ)へ〜〜なるほどですね。
フミ)奇跡のカタマリのような荒田さんですけれども、、私は一つお聞きしたかったのは、、私はフリーランスのバイオリン弾きですが、、荒田さんは九州交響楽団に38年も在籍してらっしゃったと、、人事システムは存じてないのですが、リハーサルって何時から始まるのですか?
アラタ)昔は、入団した頃は、午後2時から夜8時のリハーサル枠だったように記憶しています。
アラタ)練習場(末永文化センター)が出来るまでは、この辺、天神の今、岩田屋がある辺りにNHKがあって、、でもNHKは引越して大濠に行ったけど、その昔NHKがあったスタジオで練習してたり、いろんな場所でやってました。
アラタ)その頃は、午後からのリハーサルでしたね、入団した頃ね。そして、その後、末永さんのおかげで立派な練習場が出来たのね。その練習場が出来てからは朝の10時半からのリハーサル時間だったですね。その後、いろいろ組合との協議で、午前中に東京からエキストラさんが移動できるように1時始まりになったとおもいます。
アラタ)今はたいてい1時〜6時、2時〜6時の枠でリハーサルしていますね。 そんな感じですね。
フミ)ほぼ毎日ですか?
アラタ)リハーサルは最長で3日あるいは4日、定期演奏会とかですが。あとちょっと大きな演奏会は2日間、または1日だけとか、、練習しないでいきなり本番というのもありますね。
フミ)平気で10連勤とかもありますか?
アラタ)年間に100〜120回くらいの本番をこなしているから三日に一回くらいの本番してるから、年間100回として10年で千回
フミ)すご〜〜い
アラタ)30何年在籍してたから3千回から四千回近く舞台に乗ってきたわけね。
アラタ)だから、舞台の上ではね変な緊張は全く無い。
アラタ)僕が一番緊張したのは、セカンドバイオリンの首席のオーディションやね。
フミ)オーディションっていうのはねぇ、、
アラタ)10年間みんなとオーケストラで暮らして、、『さあ、今日はもっかい君の審査をしますから』楽員の前で、コンサートマスターの前で、指揮者の前でもっかい審査を受けるわけですよ。
アラタ)でね、20曲くらい弾かされるわけ、、
フミ)そうですか、、、
アラタ)オーケストラの曲とか、ソロの曲とかをね、、
フミ)ほんと、、オケスタみたいなのをやるのですか?
アラタ)それ、、片っ端から弾かされて、、もう精密検査みたいなのされるわけね、、これ出来ますか?あれ出来ますか?みたいにね。
アラタ)オーケストラって、、ふみさんも弾いてるから分かると思いますが、、みんなで弾いたら弾きやすいけど、、
フミ)そう、、一人でってねぇ、、
アラタ)一人で弾いたら弾きにくく無いですか?管楽器は初めからソロだから違うけど、、
フミ)弦はね、、弦はみんなで弾くから、、
アラタ)みんなで弾くから弾けるというところありますよね。それを一人で弾くっちゅうんやからねぇ、、
フミ)辛いですね、、だいぶアクロバットの感じですもんね、、
アラタ)それで合格したんですけども、、あのー1ヶ月半か2ヶ月くらい胃が痛かった。
アラタ)あれを経験したから、、まぁ、、
フミ)何がきても平気?
アラタ)まぁね。
アラタ)演奏家の人って、コンクールできてる人とオーディションできてる人とありますね。
フミ)あぁそうかぁ、、
アラタ)ぼくオーディション派やね。。
フミ)ものすごい緊張ですよねぇ、、
アラタ)知ってる人が見てる前で弾くのですからねぇ、、みんな知ってるんやから、、指差しながら待ってるんやからね、、その中で弾かなあかん。
フミ)うわーなんか想像するだけでも震えてきそう、、そんなのに打ち勝ってのあれなんですねぇ
アラタ)もう終わったことやから、、今考えたら面白い。
(笑)(笑)
フミ)すごい責任の方の荷を下ろして、、退団されてほっとされてますか?
アラタ)ほっとしてて、、ぼーっとしてるかもわかれへん、、
(笑)(笑)(笑)
アラタ)それで退団した翌年、コロナの蔓延になったんですよね。2019年の12月に退団したから2020年に開けたら、、なんかどっか横浜の豪華客船がなんかあったよね?
フミ)なんとかプリンス号ね、、
アラタ)そうそう。あれぐらいからやね、、なんとその前二月の中旬から月末にイタリアに10日程旅行に行ってるの。
フミ)そうでしたね。最後ですね。
アラタ)こんなになると思うてへんし、、、
フミ)ちょっと遅れてたらフライト止められてた可能性ありますよね。
アラタ)ローマで、コロッセウムの前で歩いてたら、、通りすがりざまにイタリア人じゃない国の人に『コロナウイルス❗️』とか言うんよ。
フミ)言ってましたか、、
アラタ)僕らに向かって言うんよ。
フミ)ええっ〜
アラタ)ま、なんかそんなこと言われたよ。
フミ)あれからスタートしちゃいましたね。でもご無事に帰って来られてアラタ)
アラタ)でも、大変やったね、、今もまだ大変やしね。
フミ)そうですよ、、まだ終わって無いですね。
『次号 完結編に続く』