🎻あらやんとバイオリン弾こか⑦🎻ボーイングは自然の法則
《弓はどれぐらい使えばいいのでしょうか?》
バイオリンを弾くときに弓をどれくらい使ったらいいのかわかりますか?
今回はそのようなお話をしてみます。
弓というのは目で音が見えるのでとてもわかりやすい道具です。管楽器で言えばそれは息の量、息のスピードと同じです。管楽器は体の中で息が動くので息は見えません。しかし弦楽器は弓が動きますから見えます。とてもわかりやすいです。
《弓の動きそのものが芸術です ボーイングそれは自然の法則です》
空間に弓が動くわけですが対象物として楽器がありますが、素晴らしいボーイングは見ていて惚れ惚れします。
皆さんも自分の理想の演奏家を探してください。そしてその人のボーイングをよくご覧になってください。まずはイメージトレーニングです。
オーケストラではボーイング(弓の上げ下げ)を合わせます。
ドイツや日本のオーケストラはすごく規則正しく合わせています。それに比べてラテン系の、例えば南アメリカのオーケストラやスペインのオーケストラとかはとても自由な感じがします。
みなさんこういう経験はないでしょうか?
ある人と一緒に弾くと同じフレーズを弾いているのに全く弓の場所が合わない。
自分は楽曲の一部を元で弾こうと思ったのに他の人は弓が先になっていた。またその逆で自分は先の方で弾こうと思ったのに周りの人はなぜか元の方で弾いていた。
これはどういうことかというと、実はどちらかのプレーヤーがボーイングを習得出来ていない証拠なのです。
また反対に、いちども一緒に演奏したことがないのに、一緒に演奏するとボーイングもフレージングもぴったり合った。それは考えていることが同じ方向で音楽に対するイメージも同じであればほぼぴったり合うのです。
ウィーン・フィルが未だ同じ地方の出身者であって、しかも同じ学校の卒業生でメンバーを固めている理由はそこにあります。
オーケストラのメンバーの弓の動きを遠くから見ていて、『どれだけ練習したら、あれだけきれいに揃うのだろう』と思った事はありませんか?
実は合わせようと思って合うわけでは無いのです。
レベルの高いオーケストラは厳しいオーディションを経て団員となり経験も豊かなので、考えることも行動も同じ方向性を持っています。多少の体格差があっても、、自然に結果として弓さばきが揃うのです。誰かに命令されて合わせているわけでは無いのです。
自然にボーイングがぴったり合う様は、あたかもそれは渡り鳥が大空を列をなして飛んでいくその隊列の美しさに似ています。
自然の法則でボーイングをすれば自然と合ってくるのです。
分かりやすいのでオーケストラでのボーイングを中心にお話しましたが、このことは世の中の一般にある問題を解決することとよく似ています。何が問題なのかわかれば、それはもう八割がた終わっています。そのためにはその仕組み、メカニズムをわかっていないと解決しません。
《実際にボーイングの話に移りましょう》
駒と指板の間には数センチの幅があります。その幅には弓が五本ほど並びます。
弓の通り道は5コースあると言うことです。
音楽の要求に従って、弓の接触点の5つで弓がまっすぐ行ったりコースが変わったりして音色が変わるのです。
またひと弓の中で指板や駒の方に動くなど、ゆみは自由自在に弦上を滑ります。
このことをトーンプロダクションといいます。YouTubeの動画で説明していますからご覧になってください。
音作りは右手の弓だけでできるのではありません。右手の弓とと左手の指先の感覚のコンビネーションで音ができるのです。
左手の指先で響きを感じながらボーイングすることがとても重要です。左手の指先は音を作るためのセンサーです。
これを無視すると正しいボーイングにはなりません。
常に左手の指先の響きを感じることが大切です。力いっぱい弦を押さえてはいけません。
どれくらいの力で弦を押さえるかと言うのは大切です。弦と指板の間の空間が指で押さえることで弦が下に降り指板にぴったり弦がくっつかなくても音が出るのです。特にハイポジションでは指に弦が食い込み、完全に下まで弦が指板にくっつく事はありません。しかしピチカートの時は弾くときより少し強めに押さえなければいけません。
カールフレッシュの《バイオリン演奏時のトーンプロダクションの問題》と言う薄いエチュードがあります。この本の表紙は最初の画像です。日本語訳されていなくドイツ語版と英語版しかありませんが、そのうち英語版を翻訳でもしようかなとは思います。
カールフレッシュのトーンプロダクションのこの本は右手の事は書かれていますが、左手の指先のセンサーの事はこの本にも書かれていません。
(つづく)