🎻あらやんとバイオリン弾こか⑤🎻
開放弦の練習方法
《ダウンボウとアップボウは通り道が違う》
バイオリンを弾くと言いますが日本語では弓を動かすことを運弓といいます。一般にボーイングと言われているものです。
ボーイングのテクニックの名称は何故かフランス語を使います。音楽の表現する言葉はイタリア語ですね。後期ロマン派位からドイツ語の表情記号も出てきます。
🎻あらやんとバイオリン弾こか⑤🎻の方向
英語の世界では弓を引くと言うのはpull the bow と言います。ダウンボウであってもアップボウであってもこれは引っ張ると言うことです。
フランス語ではtiré(引く)poussé(押す)
といいます(引っ張る)だけではなく(押す)と言うニュアンスがあります。ここにボーイングをするヒントがあります。
ちなみに日本語ではダウンボウは(下げ弓)アップボウは(上げ弓)といいます。
弓を動かす際の言葉1つでも国によって随分印象が違います。フランス語の(引く/押す)は日本語の翻訳が近いですね。
ダウンボウとアップボウは本来動かすニュアンスが違います。だから英語の(引っ張る)という翻訳はあまり適切ではないと思います。
(引っ張る)と(押す)というニュアンスが良い様に思います。
翻訳1つでもお国柄が出てきます。日本語の翻訳はある意味正しいと思います。
美しい音は美しい姿勢と美しいボーイングから生まれてきます。ビルトゥオーゾ(大家)のボーイングは見てるだけでもそれはそれは美しいものです。弦楽器の中でもバイオリンの多彩なボーイングはまさに芸術そのものです。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて映画が発達いたしました。これによって大家が演奏する演奏の秘密がわかってきたのです。
ボーイングのアップとダウンは通る道が違います
まっすぐ引くと言う事とは少し違うのです。
弓の動く方向を駒と平行に動かすと言うのも少し違います。もちろん平行に動かすと言うのはバイオリンの世界で言う憲法のようなものです。それは絶対なのです。しかし直線運動を往復して引けば良い音がするかといえばそうではありません。
そこでセブシックの作品1-11番を使って練習しましょう。ここでは全く初めてバイオリンを触った人でも経験者の方でも通用する練習方法です。
これは正しいボーイングを獲得するための魔法のトレーニングです。
あまり変に腕を動かすと鳥が羽ばたいているような右手の動きになります。これは羽ばたきボーイングと言って良い動きではありません。
私の演奏動画を貼り付けておきますので私のボーイングを見て研究してください。
ボーイングは弓の持ち方と関係が深いので右手の指が弓にどのようにアプローチしているかが大切です。
右手の親指と中指が右手を動かす軸になるわけですから指の先のほうに行けば人差し指の接触点は深くなるし、また反対に弓の元のほうに来れば接触点は浅くなるわけです。その際、元では小指を使いバランスを取ります。
弓は家庭にある包丁のようなものです。また日本刀のようなものかもしれません。どういうことかと言うと、、力いっぱい握ったら動かないし、ゆるく持つと危ないし、軽く動かなければならないのですが、飛んでいかないようにする必要もあります。
名人でも弓を軽く持ちすぎて演奏中に飛ばしてしまう方もいます。
ボーイングを上手くなるためには良い演奏家の弓の運びを見ることが大切です。イメージトレーニングです。
特にチェリストのボーイングはとても勉強になります。正面に見える弓の置く場所が見えてよくわかります。私は昔、チェリストの演奏会に行き、目を皿のようにしてボーイングを焼き付けました。
今はYouTubeやテレビでも簡単に人の演奏が見れます。その中でこの人は気にいったなと思う演奏家の弓の運びをじっくりよく見、観察しましょう。
九州交響楽団では一流の演奏家が多く来てくださり共演をしました。ベルリンフィルのシュヴァルベやメニューインも来てくださいました。今もしっかり目に焼き付いております。またロストロポーヴィッチと一緒にオーケストラで弾いたことも一生忘れない経験です。何の苦労もない弓の運びを目の当たりに見てとても刺激を受けました。
みなさんも超一流の演奏家に間近で接触できる機会があると良いと思います。
素晴らしい演奏家の弓の動き左手の動き体の使い方よく見てください。そして良い意味でそれを盗みましょう。
次回も良いボーイングを獲得するための、いろんなトレーニング方法などをお話ししていきます。
(つづく)